当社のリスク管理の理念
中央清算機関としてのサービスの一環として、SwapClear の中核的な業務は、特に会員の破綻時において、清算されるすべての契約の履行に関する信頼性を提供することです。
清算会員とクライアントの安全性と安定性を確実に維持するため、本サービスは最先端のリスク・モデルに支えられたセーフガードの枠組みを構築しています。
こうした多層的な保護措置は連携して機能し、あらゆる状況下において当社がその義務を履行できるように、十分な財務資源を確保できるようにしています。特に重要なのは、当社の清算機関で清算された取引およびそれに対して差し入れられた担保を保護することです。
安全性と安定性: SwapClear におけるリスク管理
SwapClear では、リスク管理がすべての業務の中心にあります。
会員基準
SwapClear は第 1 の防衛線として、将来の清算会員に対して厳格かつ透明性のある資格要件を設定しています。清算機関で会員として検討されるためには、会員候補が破綻したポートフォリオを適切に取り込み、評価し、オークションに参加するために必要な専門知識と能力を備えていることを示す必要があります。
当初証拠金 (IM)
新たな会員が取引の清算を開始するとき、LCH は破綻時の潜在的な損失をカバーするために、IMを徴収します。IMは、LCH の PAIRS (Portfolio Approach to Interest Rate Scenarios) 手法を用いて算出されます。この手法では、過去 10 年間の市場データを使用して、潜在的な損失分布を推定します。特定の会員の内在的なリスク・エクスポージャーが PAIRS モデルで捕捉されない場合、信用リスクと流動性リスクを補うためのマージン・アドオンも適用されます。
変動証拠金 (VM)
IMに加え、当社はすべてのカウンターパーティから日次および日中のVMも徴収し、時価評価の変動に対応します。これらの証拠金の支払いは LCH によって処理されます。
当社は VM を徴収することで、すべての会員がその時点での義務を確実に履行していることを保証し、会員の損失が長期にわたって蓄積することで発生するような破綻リスクを防ぐことができます。
破綻管理
清算会員が破綻に陥った場合でも、こうした予防的なセーフガードによって、破綻による影響が大幅に抑制されます。破綻したポートフォリオは、リスクを軽減するためにヘッジされており、これにより、SwapClear が破綻会員に関連する取引を健全なカウンターパーティへオークションまたは移管する作業が格段に容易になります。
デフォルト・ファンド
清算会員が破綻した場合、当社のデフォルト・ウォーターフォール・モデルに従い、当該清算会員が差し入れた証拠金およびデフォルトファンド拠出金が、最初に使用される資金となります。これらの資金がすべてのサービスにおいて費消され、LCH 自身の「スキン・イン・ザ・ゲーム」も使用された後にのみ、非破綻清算会員が損失を被る可能性が生じます。
破綻管理プロセス
LCH は厳格な破綻管理プロセスを維持しています。
LCH には破綻対応において確かな実績を有しており、リーマン・ブラザーズの破綻 (66,390 件の取引を含む 9 兆ドル規模のポートフォリオ) を管理した際には、LCH に保有されていた全資産に対して、リーマンの IM の わずか35% しか使用しませんでした。
当社の破綻管理プロセスは、他の非破綻清算会員に影響を与えることなく、破綻した企業の未決済ポジションのリスクを低減するために、3 つのステップで構成されています。
リスクの中立化と顧客ポジションの移管
清算会員の破綻発生後、LCH は速やかに、非破綻顧客のポジションを非破綻清算会員へ移管 (porting) する手続きを開始します。 これと並行して、当社は破綻管理グループ (DMG) の支援を受けながら、破綻会員の取引ポートフォリオをヘッジします。DMG は、清算会員およびその他 DMGが適切と判断する会員から、適切なスキルと専門知識を有する上級幹部を選出し、破綻が発生した場合に LCH へ出向させる体制を整えています。
ポートフォリオのオークション
DMG によってポートフォリオのリスクが大幅に軽減された後、LCH は破綻会員のポートフォリオを商品および通貨別に分割します。その後、各ポートフォリオに対してオークションが実施されます。オークション対象のポートフォリオを受領し、価格評価ができるかどうかは、当社がSwapClear への会員資格を付与する前に確認する審査基準の一つです。
損失の配分
損失が破綻会員および LCH の財源を上回る場合、非破綻 SwapClear 会員が資金拠出したデフォルトファンドが使用されます。
VM とヘッジに起因する損失は比例配分され、オークションに起因する損失はオークションにおける入札行動に基づき配分されます。
SwapClear のデフォルト・ウォーターフォール
LCH のデフォルト・ウォーターフォールは、破綻清算会員、非破綻清算会員、および LCH 自身の財源が、破綻処理の過程でどの順序で使用されるかを定めています。
破綻清算会員が差し入れていた証拠金は、破綻対応において最初に使用される資産であり、次に当該会員のデフォルトファンド拠出金が充当されます。
これらの資産で破綻の処理が不十分な場合、次に LCH 自身の資本を損失に充当します。これらの財源がすべて枯渇した場合にのみ、非破綻清算会員によるデフォルトファンド拠出金が、ポートフォリオのクローズアウトに使用されます。
すべてのウォーターフォール財源が費消され、破綻となったポジションが完全にオークション処理されないという異例の事態においては、サービスを継続できるように追加的なセーフティ・ネットが発動されます。これは損失配分の段階であり、破綻発生時点以降に利益を計上した口座に対して、VMGH が適用されます。
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